カウンセリングと他の対人援助職の違い
カウンセリングは、医療、教育などいろいろな分野と共通点や相違点があります。 このページではカウンセリングと医療、教育、ケースワーク、コーチング、コンサルテーション、法律相談、宗教との違いを説明します。
カウンセリングと医療の違い
医療の分野では精神科を中心にサイコセラピーやカウンセリングが実施されてきました。
しかし医療では、疾患や障害の診断と治療が主な目的です。
カウンセリングは人間的な成長や自己実現を支援するため、医療よりポジティブな部分を含んでいます。
カウンセリングと教育の違い
教育とカウンセリングは「人格の尊重」を目的とする点で共通点があります。
しかし教育の特に授業は、文化や価値の伝達を一方的に行うものです。
カウンセリングはクライエント(相談者)とカウンセラーが双方向にコミュニケーションを行うことで、クライエントの自己実現を支援します。
カウンセリングとケースワークの違い
ケースワークは社会福祉の分野で生活環境や社会制度などの環境要因を重視し、クライエントが抱える問題の社会的な要因へ働きかけます。また、クライエントの社会生活の向上を主な目的とします。
カウンセリングでも環境要因に働きかけることはありますが、基本的には相談時間内でのクライエントのニーズに対応していきます。そして、クライエントの心理的・内面的変化や成長を主な目的とします。
カウンセリングとコーチングの違い
コーチングは明確な目標を設定して目標達成を目指します。
カウンセリングは心理的に目標設定が不可能な状態にある人に、目標をみつける支援からはじまります。
カウンセリングとコンサルテーションの違い
コンサルタントの対象はクライエントだけでなく、クライエントが働く環境のなかで超苦節的に支援ができるキーパーソン「コンサルティ」を含みます。
そしてコンサルテーションはコンサルタントの専門的な知識のもとに「助言」や「提案」を主な手段として用います。
対してカウンセリングは「助言」や「提案」をすることはほぼありません。
クライエント自身が気づき、主体的に問題解決をできるように支援するのがカウンセリングです。
カウンセリングと法律相談の違い
「クライエント」という言葉はもともと法律相談のために弁護士を訪れる人のことを指す言葉でした。その点で法律相談とカウンセリングには共通点があります。
しかし法律相談は法的な判断をもとに問題解決のための助言や手続きを援助するものです。
カウンセリングは「法律」「社員規則」「校則」のような人間の外側に作られた価値観を判断材料にしません。あくまでクライエントの価値観を重視し、内面的な変化を促進するのがカウンセリングです。
カウンセリングと宗教の違い
宗教の目的は、作られた教義を信仰することにより精神の安寧を得ることと考えます。
カウンセリングは人間の外側に作られた教義で精神の安寧を得るのではなく、クライエントが自己理解することで人間的な成長と自己実現を得ることを支援します。
まとめ
カウンセリングとそのほかの様々な対人援助職の違いを説明しました。
各分野でカウンセリングの基礎となる「傾聴」や「共感的態度」の手法は用いられています。
逆に言えば、全ての対人援助職はカウンセリングの様々な手法・理論を学ぶことで、更に深い支援が可能になると言っても過言ではありません。
また、対人援助職の人はその業務の性質上、援助する側が心理的苦痛を抱えることも珍しくありません。そんなときはぜひ、カウンセラーを気軽に利用してもらえる社会になるといいなと思っています。