【産業保健師が解説】オンラインカウンセリングの種類と注意点
オンラインカウンセリングとは
これまではカウンセリングルームなどに足を運んでカウンセリングを受けるのが定番でした。しかし、インターネットやスマートフォンの普及、ビデオ通話ツールの増加により、自宅にいながらにしてカウンセリングを受けられる「オンラインカウンセリング」を利用する人が増えています。
オンラインカウンセリングの種類
オンラインカウンセリングには主に4つの種類があります。
チャットカウンセリング
LINEなどのチャットツールを利用するカウンセリングです。
お互いの顔を見ることができず、文章だけで悩みを伝える必要があるため、ある程度悩みを言語化できていないと問題解決には時間がかかる傾向があります。
ただ、メールカウンセリングと比べるとリアルタイムで返事があるため、今すぐ聞いてほしい悩みにも対応しています。
メールカウンセリング
文字通りメールの往復で行うカウンセリングです。
チャットと同様、悩みを言語化できている必要があります。
しかし、自分のペースで文章がまとまったら送ることができるため、リアルタイムの会話に近いチャットが苦手な人には向いている方法と言えます。
電話カウンセリング
電話カウンセリングは音声のみを利用するカウンセリングです。
チャット・メールのカウンセリングと比べて声のトーンや間が発生するため、共有できる情報が多くなります。
ビデオ通話カウンセリング
Zoomなどのビデオ通話ツールを利用してお互いに顔を見ながら会話するカウンセリングです。
4種類のなかでは最もお互いの信頼関係が築きやすく、スムーズな意思疎通が可能です。
使用するアプリのダウンロードや設定が億劫な方は敷居が高いと感じられますが、4つのなかで最も効果の高いオンラインカウンセリングがビデオ通話です。
オンラインカウンセリングの注意点
4つの種類にそれぞれの注意点があります。
チャットカウンセリングの注意点
文字だけで悩みを伝え、カウンセリングを行うため、一番情報量の少ないカウンセリングです。
また、どのカウンセリングにも言えますが、チャットカウンセリングのカウンセラーは近年で需要が高まりすぎているため、組織での研修を受けていても医療・心理・援助職関係の資格は不問としている場合もあります。
情報量が少なく、有資格者ではない人が行う場合、カウンセラー側にも負担が大きいため、クライアント(相談者)は思ったような「話を聴いてもらえた感」を得づらい場合があります。
メールカウンセリングの注意点
チャットカウンセリングと比べるとまとめた文章のやりとりになるため、情報量は多くなります。
しかしリアルタイムで返事が来るわけではないので、とくにカウンセリングを必要とする心理状態の場合、返事が来るまで「あそこの文章はまずかったかもしれない」「もっとこう書けばよかった」など、追加の悩みが生まれてしまうことがあります。
メールを送った後に返事が来るまで気になるのは当然ですが、短期的な課題・いま不都合が生じている問題への手段としては支援する力が弱いのも事実です。
電話カウンセリングの注意点
チャットやメールと比べると感情を表現しやすいのが電話カウンセリングです。
しかし、公的機関が開いている無料の電話相談は繋がるまでに長時間待つことが多いです。
すぐに話を聴いてほしい時には、公的機関でなく民間の電話相談を利用したほうが良いでしょう。
ビデオ通話カウンセリングの注意点
4種のなかで最も互いの情報を得ることができるのがビデオ通話です。
しかし対面には及ばないため、対面カウンセリングよりは変化の実感に回数がかかると言われています。オンラインカウンセリングは対面カウンセリングと比べて安価ですが、変化を実感できるまでの回数で比較すると、最終的にどちらが安価とはいいがたいのが実情です。
オンラインカウンセリングの種類と注意点
4種のカウンセリングすべてに通じますが、カウンセリングは無資格者でも行うことができます。
しかし、訓練を受けていないカウンセラーはクライエント(相談者)との距離が近すぎたり遠すぎたり、それによってカウンセラー本人も傷ついてしまい、同じカウンセラーでのカウンセリングが中断されてしまうなど、様々な問題があります。
また、有資格者でもカウンセラーによって得意・不得意な分野はあります。 どの資格を持っているか、どの分野での実績があるか、などをよく吟味してカウンセラーを選ぶことが大切です。