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ストレスチェックで集団分析できる最低人数は何人から?

2022.09.10  更新:2022.10.21 ストレスチェックで集団分析できる最低人数は何人から?

ストレスチェックの集団分析とは

ストレスチェックの集団分析とは、ストレスチェック結果を事業場内の集団(支店・部署やグループなど)ごとに集計し、組織のストレス状態と傾向を分析することです。

集団ごとの課題・問題点が明確になることで、職場環境の改善が可能になります。

集団分析およびその結果に基づく職場環境改善は努力義務とされています。 しかしコストをかけてストレスチェックを実施するので、職場環境の改善につなげて、コスト削減や利益アップにつなげることが重要です。

10名未満の事業所で集団分析を行うには

集計の単位が10名未満のケースは個人の特定につながる恐れがあります。そのため原則として事業主へ結果を提供することができません。しかし、次の方法で集団分析を行うことは可能です。

  1. いくつかの部署をあわせて10人以上にする
  2. 10人未満の対象者全員に集団分析を行う同意を得る

ストレスチェックの集団分析を行うメリット

ストレスチェックの結果を職場や部署単位で集計することで、高ストレスの従業員が多い部署や職場がわかります。

ストレスチェックの集団分析を行うメリット

高ストレス者が多い部署の労働環境や残業時間など他の情報をあわせて考えることで、何が問題なのか明らかとなり、職場環境改善の対策を打つことができます。

高ストレス者が多い部署のストレスを取り除くことで、企業全体のストレス度合を下げることも可能です。

ストレスチェックの集団分析を行わないデメリット

また、そのような高ストレスの部署があることは他の部署で働く従業員にも悪影響を及ぼします。

「あそこに異動になるくらいなら転職活動しよう」

「あんなに残業させる上司がうちに異動してきたらどうしよう」

「あんなにみんなが疲れているのに何も対策をしない会社の上の人たちは、従業員のことなんてどうでもいいのだろうな」

などと、高ストレスの部署を放置することは、他部署の人間にも会社への帰属心や忠誠心を下げる要因になります。

ストレスチェックの集団分析の評価方法

集団分析は、「仕事のストレス判定図」から見ます。
仕事のストレス判定図からわかるストレス要因は

  • 仕事の量的負担
  • 仕事のコントロール
  • 上司の支援
  • 同僚の支援

の4つです。

仕事の量的負担とコントロール

「仕事のストレス判定図」厚生労働省

量ーコントロール判定図からは、仕事の量的負担と、仕事の裁量権・自由度をストレス要因としたストレス度がわかります。

縦軸は仕事のコントロール、横軸は仕事の量的負担を示します。
左上に表示されるほどストレスが低く、右下に表示されるほど、ストレスが高いということになります。

上司の支援

「仕事のストレス判定図」厚生労働省

職場の支援判定図からは、上司の支援と、同僚の支援をストレス要因としたストレス度がわかります。

「上司の支援」(横軸)と「同僚の支援」(縦軸)の点数から、同様に健康問題の危険(リスク)を 判定しています。

右上に表示されるほどストレスが低く、左下に表示されるほどストレスが高いということになります。

ストレスチェックの集団分析の重要なポイント

2つの判定図から、従業員の健康にどの程度影響を与えるか、総合健康リスクの指標となります。

健康リスクA

健康リスクAとは、「量-コントロール判定図」で表現されるストレス要因の「仕事の量的負担」「仕事のコントロール」から評価された業務的負荷に関するリスクを示しています。

健康リスクB

健康リスクBとは、「職場支援判定図」で表現されるストレス要因の「上司の支援」「同僚の支援」から評価された職場支援に関するリスクを示しています。

総合健康リスク

総合健康リスクは「健康リスクA」「健康リスクB」を総合的に評価し、従業員の健康にどの程度影響が与えられているかの指標となります。

総合健康リスクは、全国平均を100とし、仕事のストレスの特徴から予想される心理的ストレス反応や検査の異常値、病気の発生などの健康問題の危険度を見ることができます。

算出式は次の通りです。

総合健康リスク=「健康リスクA」×「健康リスクB」÷100

総合健康リスクも、数値が高いほどリスクが高い状態を表しています。

一般的に、点数の評価は以下の通りです。

点数 対策
120点以上 潜在的な問題があることが考えられストレス要因を探り対応が必要
150点以上 健康問題が表面化し早急な対応が必要

しかし数字はあくまでも数字で回答者の遠慮や不安による過小評価の可能性もありますので、数字が低ければ何もしなくていいというわけではありません。

ストレスチェックの集団分析で課題改善まで行うことが重要

仕事のストレス判定図や健康リスクはどのように職場環境改善に生かせばいいか、今からポイントを紹介します。

健康リスクAが高い場合

「仕事の量的負担」「仕事のコントロール」から評価された業務的負荷に関するリスクを示す「健康リスクA」が高い場合、労務管理に関する改善が必要です。

労務管理の改善具体例

  • 特定の個人やチームに業務の偏りがないか確認をする
  • 適切な配置転換を行う
  • 人員の増員や物品と資材の整理
  • 対応をマニュアルにまとめる
  • 個人のスキルを上げる研修を行う

健康リスクBが高い場合

「上司の支援」「同僚の支援」から評価された職場支援に関するリスクを示す「健康リスクB」が高い場合は、職場環境に関する改善が必要です。

職場環境の改善具体例

  • 1on1のミーティングを定期的に行う
  • 上司は部下に相談されたら手をとめて顔を合わせる
  • スケジュール共有表を活用してお互いに相談しやすくする
  • 適切な助言や励ましで常にフィードバックを行う
  • 今後の方針や見通しを共有する
  • 部署の人間同士のランチ費用を補助する
  • リモートワークでも一日に一回は顔を合わせる時間を設ける
  • 業務に過度な影響を与えない程度の雑談は推進する
  • 同僚同士、上司と部下同士がお互いを知るワークを行う

総合健康リスクについて

総合健康リスクは健康リスクAと健康リスクBを総合した結果です。全国平均を100として、それより高い場合は高リスクです。

一般的に、点数の評価は以下の通りです。

点数 対策
120点以上 潜在的な問題があることが考えられストレス要因を探り対応が必要
150点以上 健康問題が表面化し早急な対応が必要

しかし数字はあくまでも数字で回答者の遠慮や不安による過小評価の可能性もありますので、数字が低ければ何もしなくていいというわけではありません。

ストレスチェックの集団分析によくある質問

ストレスチェックの集団分析によくある質問をまとめました。

Q1.ストレスチェックの集団分析の目的は?

A1, 職場環境に潜むストレス要因を明確化して改善への対策を打つことができます。

また、業務過重の多い部署や仕事コントロールの良好な部署などが分かります。

Q2.ストレスチェック分析の見方は?

A2, 「量-コントロール判定図」と「職場の支援判定図」を使い、全国平均との乖離を見ることができます。

また、「量-コントロール判定図」と「職場の支援判定図」の2つの合計から「総合健康リスク」を知ることができます。

Q3.ストレスチェック集団分析結果の開示は?

A3, 集団分析の結果の開示範囲や活用方法は事前に審議しルールをもって行うことが重要です。どの管理権限者にどの情報まで閲覧可能とするかを事前に設計しておきましょう。

また、ストレスチェック実施後の職場環境改善で従業員への不利益がないように、ストレスチェックへの不安感が生まれないように、注意しましょう。

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