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ストレスチェック義務化対象外の50人未満の事業所は助成金をもらえます

2022.09.10  更新:2022.10.27 ストレスチェック義務化対象外の50人未満の事業所は助成金をもらえます

労働安全衛生法で労働者に対してストレスチェックを行うことが義務付けられているのは、常時50人以上の労働者を使用する事業場です。労働者が50人未満の事業場はストレスチェックを実施する義務はなく、努力義務とされています。

しかし、ストレスチェックを行うことで助成金をもらえるなど企業にはメリットもたくさんあります。このページではストレスチェック義務化の対象と、もらえる助成金、ストレスチェックを行うメリットを紹介します。

ストレスチェック義務化の対象は

“「労働安全衛生法」という法律が改正されて、労働者が 50 人以 上いる事業所では、2015 年 12 月から、毎年1回、この検査を全ての労働者※に対して実施することが義務付けられました。 契約期間が1年未満の労働者や、労働時間が通常の労働者の所定労働時間の4分の3未満の短時間 労働者は義務の対象外です。” 引用元;厚生労働省ストレスチェック制度導入マニュアル

「うちの従業員は50人未満だから大丈夫だ」
と安心した方もいるのではないでしょうか。

しかし、従業員が50人未満の企業・事業所にもストレスチェックを導入するとメリットがたくさんあります。
まずはストレスチェック義務化の背景をおさらいしましょう。

なぜ義務化されたの?

ストレスチェックが義務化になった背景には、精神障害による労災件数の増加があります。
精神障害による労災の申請件数は年々増加し、それに伴い労災認定の件数も増えています。ここ5年(2015年~2020年)における精神障害の労災補償請求件数を見ても、請求・補償決定件数ともに増加しています。

職場の人間関係や長時間労働など、さまざまな要素が原因となりストレスを抱えてしまう人は少なくありません。
最近は新型コロナウイルスの影響で、慣れないリモートワークで孤独を感じる人やコミュニケーションに困難を感じる人、また雇用が不安定になっていることに精神を病んでいく人も増えています。

従業員がメンタル不調になると、能力が低下し業務に支障が生じたり、精神的な病での長期休職や最悪の場合自殺を図る可能性が考えられます。
こういった事態を避けるためにも、ストレス状態を定期的にチェックすることが重要です。

ストレスチェックは従業員だけでなく、企業にとっても大切なリスクマネジメントです。

50人未満の事業所がストレスチェックでもらえる助成金

「小規模事業場産業医活動助成金」は、従業員50人未満の事業場が産業医・産業保健師を選任したときの費用や、契約した産業医・産業保健師に従業員が直接健康相談できる環境を整備するときにかかった費用を申請することで、助成金が受け取れる制度です。

ストレスチェックでもらえる助成金の種類

労働者健康安全機構による「小規模事業場産業医活動助成金」は、「産業医コース」「保健師コース」「直接健康相談環境整備コース」の3つのコースがあります。

どのコースも1事業場当たり6カ月あたり10万円を上限とし、2回まで助成します

「保健師コース」の申請要件・助成金額・期間

1つ目「保健師コース」は、保健師との契約が必要です。
従業員が50人未満の小規模事業場が、新たに保健師と健診異常所見者や長時間労働者に対する保健指導、高ストレス者に対する健康相談、健康教育などの産業保健活動の全部または一部を実施する契約を締結し、実際に産業保健活動が行われた場合に、費用が助成されます。

保健師コースの助成対象・助成金額

保健師と健診異常所見者や長時間労働者らに対する保健指導など、産業保健活動の全部または一部を実施する契約をした場合に助成されます。

1事業場当たり6カ月あたり10万円を上限とし、2回まで助成します。

「保健師コース」申請のための要件

  1. 小規模事業場(常時50人未満の労働者を使用する事業場)であること。
  2. 労働保険の適用事業場であること。(厚生労働省ホームページ掲載の「労働保険適用事業場検索」にて該当した事業場を適用事業場とみなす)
  3. 保健師と事業場が「産業保健に係る契約」(健診異常所見者や長時間労働者等に 対する保健指導、高ストレス者等に対する健康相談、健康教育等の産業保健活動 の全部又は一部を実施する契約)を締結していること。
  4. 保健師が産業保健活動の全部または一部を実施していること。
  5. 産業保健活動を行う者は、自社の使用者・労働者以外の者であること。

「環境整備コース」申請のための要件

直接健康相談環境整備コースでは、小規模事業場が、

  • ①産業医と、職場巡視など産業医活動の全部または一部を実施する契約
  • ②保健師と、健診異常所見者や長時間労働者に対する保健指導など、産業保健活動の全部または一部を実施する契約

上記のいずれかに契約した産業医または保健師に労働者が直接健康相談できる環境を整備する条項を含めて締結し、労働者へ周知した場合に助成します。
契約するだけでなく、労働者への周知が必要です。

「環境整備コース」の助成対象・助成金額

産業医と締結する産業医活動契約、または保健師と締結する産業保健活動契約のいずれかに、契約した産業医または保健師に労働者が直接健康相談できる環境を整備した条項を含めた場合に助成します。

1事業場当たり6カ月ごとに10万円を一律支給。2回まで助成します。

「環境整備コース」申請のための要件

助成金を受けるための「事業場」の要件

  • 小規模事業場(常時50人未満の労働者を使用する事業場)であること。
  • 労働保険の適用事業場であること。(厚生労働省ホームページ掲載の「労働保険適用事業場検索」にて該当した事業場を適用事業場とみなす)

詳しくは「ストレスチェックの助成金は半年ごとに10万円もらえます「小規模事業場産業医活動助成金」まとめ」をご覧ください。

助成金以外にもあるストレスチェックのメリット

助成金だけでなく、ストレスチェックにはコスト削減や利益アップの可能性がたくさんあります。

採用広告費・採用教育費の削減

離職者の多い職場、定着率の低い職場は、新たな人材を得るための採用費用や採用した人材を教育するために費用がかかります。
さらに、採用や教育に関わる労働者の負担が大きくなり、新たなストレスの発生にもつながります。

ストレスチェックの実施で職場環境が改善されれば離職者が減り、採用教育費を削減することができます。

また教育に割かれていた人の手が空き、本来の業務ができることで利益もあがりやすくなります。

労使トラブルの防止

2022年4月1日より労働施策総合推進法、通称「パワハラ防止法」の改正が施行され、大企業だけでなく中小企業にも適用されることになりました。
対策を講じない場合は後々損害賠償責任を問われるトラブルに見舞われる可能性もあります。パワハラ問題はブランドイメージの低下や従業員の意欲の低下、退職の発生など不利益が多く、パワハラ防止法を守ることは企業を守ることに直結します。

このように、事業者には、労働者が安全に働けるように配慮する義務があります。いわゆる安全配慮義務には、有害物質対策など身体的な安全を確保するだけではなく、メンタルヘルスケアも含まれています。

業務過多や上司のパワハラなど職場のストレスが原因でうつ病などの精神疾患を発症した労働者が、事業者に対して損害賠償を求める裁判を起こすケースも発生しています。
訴訟などを防ぐためには、まずメンタルヘルス不調者を出さない環境づくりが重要です。

従業員のパフォーマンス向上で利益増

過度なストレスを受けると、労働者の生産性は低下します。
集中力低下や無気力といった精神面の症状だけでなく、頭痛やめまい、不眠など身体面にも影響が出てくるケースがあります。
遅刻や早退、欠勤が増えている場合は要注意です。

ストレスによる心身への悪影響がなくなれば労働者は仕事に集中することができるため、パフォーマンスの向上が期待できます。

また、パフォーマンスが低下している従業員、遅刻早退欠勤が多い従業員がいることは、周囲の従業員のモチベーションも下げてしまいます。
一人ひとりの従業員はお互いに人的環境として周囲に影響を及ぼします。
逆に考えれば、ストレスへの対処ができている従業員やモチベーションの高い従業員が増えれば、職場の環境が改善されていき、全体のパフォーマンスも上がります。
好循環の職場づくりを目指していきたいものです。

弊社ではストレスチェックの社外委託を請け負っております。

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